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増井真也日記
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増井真也日記

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2018/06/16

10時、東京都国分寺市にて設計中のJさんの家の打ち合わせ。今日は第2回目の見積もり提示である。前回はまだ行っていなかった木拾いの説明などについてお話をさせて頂いた。

この住宅の設計をしていて一つ困っていることがある。それは大きさや形状にもよるのだけれど、網入りガラスに防犯ガラスを採用できないことだ。これは防犯ガラスに使用するフィルムが熱を吸収する性質があり、網入りガラスにはガラス面の温度差によって割れやすいという性質があって、それが合わさると日当たりの良い窓のガラスがとても割れやすい状態になってしまうという理由からきている。防火のための網入り、遮熱のためのLOWE、防犯のためのフィルム・・・確かにいろいろな機能を詰め込みすぎることによる無理なのかなという気もするが、逆に考えるとアルミサッシも随分と進化したものだなあの感もある。一昔前には単板ガラスのアルミサッシが一般的だったけれど、もうそんなサッシは見ることもなくなってしまったのである。

準防火地域に設計をしていると窓が自然と小さくなる。大きな窓は高い、だからとても良く考えて窓の大きさを決めるようになる。何でもかんでも大きければよいというような設計は行わない。窓が小さくなると、家の外皮性能は上がる。窓からの熱損失は外壁からのそれに比べると非常に大きいので、窓が小さくなると自然に性能が良くなるのだ。

昔コルビジェが近代建築の5原則なるものを考えた。

・ピロティー(地面を都市に開放する)
・ルーフガーデン(屋上の緑)
・自由なプラン
・水平連続窓
・自由なファサード

それまでの石造建築とは違い、コンクリート構造の採用による自由な建築の作り方を表現する概念である。こういう考え方は全世界に広まり、そして世界中に同じような建築が作られるに至ったわけだけれど、面白いことにコルビジェ自身は晩年にロンシャンの教会のごとき真逆の建築を作ったりもしている。最後の最後にはカップマルタンの小屋で上半身裸で図面を描いたり・・・自然や造形、インドの世界観、こういうものによっていくことでやわらかい建築へと向かっていった。

なんとなく今設計している住宅はそういう柔らかい感じを持っているような気がする。大きいだけの窓でもなくって、シンプルだけの意匠でもなくって、アルミサッシはアルミサッシでも、あるべき大きさとか場所とかを吟味して、そこからの光や風を受け入れて、そして大きな壁によって外部と分けられることで、胎内空間のような安心感がある感覚、そんな優しさがあるような気がするのだ。

15時、埼玉県和光市にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。見積もり調整3回目、今日はキッチンなどの細かい部位についての確認作業などを行った。

ツールボックスなる金物屋さんがあるのだけれど、これがなかなか良い。キッチンなどの部材や洗濯物干し金物など、僕たち設計者が欲しいなと思うようなものが比較的お安い値段で売っている。日本の大手メーカーもこういう軽いフットワークをもってデザインすればよいのになあと思うけれど、リクシルやTOTOではなかなかこうはいかないようだ。

2018/06/14

10時、リクシルさんと東京電力による建て特バリューなるサービスの説明を受ける。このサービスは簡単に言うと、ZEHを実現する建物のソーラーパネルにかかる約200万円ほどの費用をリクシル テプコ スマートパートナーズという会社が負担してくれる代わりに、昼間の余った売電の権利を譲渡するというもので、ZEH実現にかかる費用がだいぶ割安になることとなる。さらに昼間の電気料金も若干下がるということで、ZEH普及に向けた牽引材料になる商品といえるであろう。

この話、僕が感動したのは住宅の屋根をソーラー発電施設として利用し、まるで社会資本として扱うかの如く、その設置から余剰電力の扱いまで東電が責任を持つという点である。これならば多くの建築の屋根にソーラーが乗る。しかも施主ではなく、東電とリクシルが乗せるのである。

原発問題を強く感じつつも、それに頼らざるを得ないこの国のエネルギー問題を解決するために何ができるかの答えとしてのZEHであるけれど、普及率がいまいち低かった現状を打破するためにどうすることも出来ない膠着状態にあるのかと思いきや、このやり方があったかの驚きを感じた。ZEH実現となると、それなりの大きさの屋根が必要となるが、今後の家造りに生かしていきたいと思う。

2018/06/13

今日からものつくり大学2年生のの丹野君がインターンシップとして参加している。例えばベニヤ板に切り込みを入れたものや、柱のような材木の切れ端といった小さなパーツの組み合わせで、収納家具のごとき集合体を作り出すことを一つのテーマにする予定である。まずは慣れないながらもスケッチブックにいろいろなアイデアを描かせる。次はそれを模型にしてみる。その繰り返しを1週間ほど続けてみてのどうなることやらである。大学生のインターンシップは毎年のように来るけれど、やっぱり若い人がいるというのはなんとなく良い。現実的ではない話をしていると、僕の頭も多少は柔軟になる。子供のようなアイデアをいつまでも・・・誰もが思うことだけれどなかなか難しいのでだ。

19時、東京都墨田区にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。これまで実施設計を進めてきたところでの契約である。月末からの工事に向けていよいよ準備に入る段階となった。マンションということで一戸建てとは異なる気遣いもあると思うが、上手に進めていきたいと思う。

2018/06/11

今日から長谷川君24歳大工さんがますいいに参加する。すでにますいいの大工工事を担っている宍戸さんと二人で組んで現場の大工作業を進行していく予定だ。若い大工さんは頼もしい。これからに期待したいと思う。

続いて埼玉県川口市にて進行中のHさんの現場へ。外壁のリシン搔き落とし仕上げや内部漆喰仕上げなどが完了しとても良い風合いに仕上がっている。特に外壁は、スペイン瓦のオレンジ色とよく合うクリーム色のモルタルが良い。リシンなど一昔前の仕上げであるが、だからこそ何とも言えない味わいがあるのだと思う。

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2018/06/09

今日は朝から川口市に錫杖寺にて茶会に参加。濃茶・薄茶・作家さんの席・立礼と全部で4席あって、そのうちの薄茶席を受け持つ茶会である。多くの知人にお声掛けをさせて頂いたので、みんなが来てくれると思うと嬉しいやら緊張するやらで何となく落ち着かない。

今日のお菓子は石川県の小松市というところから、行松旭松堂の行松さんがわざわざ届けてくれたお菓子である。車で何時間もかけて届けてくれたというだけで、なんとなくいつもよりさらにおいしくなったような気がするもので、やっぱり気持ちというのは何にもかえられない大切なものなのだなあの感を味わう。僕も物つくりの仕事をしているけれど、やっぱりこういう気持ちを大切にしてやっていきたいものだと思う限りである。
お菓子の銘は「沢辺の蛍」、緑色のまんまるの中に大豆が一粒、そして金粉がひとかけ、まるで蛍が舞っているような意匠である。口にいれたらあっという間になくなってしまうお菓子だけれど、ここまでこだわって意匠を考案する、それも見習いたい姿だ。茶道の世界は、いわゆる合理化のごとき近代経済の考えとはかけ離れているが、でもなんとなくだからこそ求められているようなものである気もするのである。

夕方、別の集まりにて会食。11時ごろ帰宅。何とも長い一日であった。

2018/06/08

午前中、埼玉県川口市にて設計中のSさんの事務所打ち合わせ。今日は大体のプランが決定したということで、事務所の看板についての打ち合わせを行った。看板などというもの、普段はあまり気にすることはない。でもよくよく見てみると、遠くから視認できそうな屋根の上などの高いところに取り付けられたもの、車で近づいてきたときにすぐに駐車場の中に入ることができるように導くためのもの、歩行者が目に留まりやすいように人の目線にあるもの等などいろいろと奥深い。取り付ける場所もさることながら、その角度もまたいろいろだ。一見裏側としか思えないような角度のほうが、道路と平行に取り付ける看板よりもよく見えるなどの驚きもある。さすがいろいろなところに看板を取り付けてきたSさんである。僕なんかよりもよほど看板に詳しいのである。

終了後、明日の茶会準備へ。ランドクルーザーに満載の茶道具を川口市の錫杖寺に運び込む。僕が弟子入りしている松田先生の社中としては初の公の茶会なので念入りに準備を行う。

17時、新宿にあるリビングデザインセンターオゾンにて東京都杉並区で設計中のUさんの家の打ち合わせ。基本設計も終盤ということでキッチンなどの細部についての確認作業などを行った。

2018/06/06

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

10時、埼玉県某所にて投資用アパートを建てたいというご相談を受ける。最近は木造の小さなアパートを作って、投資用物件として賃貸するケースが多いようだけれど、今回のご相談では土地から購入して建築を新築して賃貸経営をしようという計画であった。こういう計画は初期投資が抑えられれば抑えられるほどに利回りが良くなりやすいわけなので、当然ローコストでよい建築を造ってくれる会社が必要となる。しかしながら空き家問題がこれほど大きくクローズアップされる時代に、魅力のない建築を作ったところで、それが満室状態で賃貸されるとは思えない。コストをかけない魅力とは・・・。なかなか難しいお題である。住まい方の提案でどのような魅力を生み出すことができるのか。プランニングの工夫でどのような魅力を生み出すことができるのか。セルフビルドを受け入れる賃貸なども増えてきてはいるけれど、新築でそれをやるのもなんだかなあの感もある。難しい限りであるのだ。

15時、ものつくり大学のインターンシップ面接。大工さんになろうかそれとも設計を学ぼうか、悩んでいるということである。似ているようでだいぶ違う、職人さんと設計士、これは安易にアドバイスはできない。大工さんはとてもよい仕事だと思う。そして住宅を設計するという仕事も僕自身がかかわっていてとても楽しい仕事だ。そもそも昔は大工の棟梁と呼ばれる親方が、施主と話し合って間取りを決めて、設計をして、さらには職人もやって家づくりを行っていた。しかしながら法律の複雑化、多様なデザイン・・・などなどの理由によって棟梁が設計を行う家づくりというのは、ほとんど行われていない。その代わりに台頭したのがハウスメーカーである。大量に同じものを作ることができるシステムを家づくりに導入し、均質化された建築を全国にばらまいた。都市が成長する時代には画期的な制度であったのであろうし、コルビジェの建築のごとき近代化の時代を先導する現実的な商品として必要とされたのだと思う。

現代、物はあふれ、これ以上の建築はもはやあんまり必要とされない時代となった。それでも家を作ろうという人はいるけれど、均質化された大量生産品はあんまりほしくはないであろう。これからの時代に必要なものは、魅力的な建築を作ろうという職人気質を持つ大工さんが一つ一つ丁寧にこだわって作り上げた建築であると思う。設計と大工、どちらになろうかを悩むほうがおかしいのかもしれない。どちらも学びどちらも出来る、そんな人物になってみればのアドバイスが良いのかなあなどと考えてみた。

2018/06/05

グアテマラのフエゴ山の火山の噴火が大きなニュースになっている。山頂付近の街は火山灰によって埋め尽くされていしまっていて、多くの犠牲者が出ているようだ。最近日本でもあちこちの火山が噴火しているし、フィリピンなどでも同様の噴火が起きている。地球全体にとってみれば、くしゃみをしている程度なのかもしれないけれど、付近で生活をしている住民にとってはとても不安な現象だろう。僕たちの生活圏のすぐ近くにも富士山というとても大きな火山がある。富士山が噴火すれば、東京でも数センチの火山灰が積もるといわれているし、そうするといろいろな困った事態が起こるといわれている。とはいえ何ができるか。マスクを買ってみたり、水を買ってみたりの程度は誰でもやれることだけれど、逆に言うとそれ以上の備えなど行うすべもない。

ポンペイの遺跡に関する映画を見たことがあるが、繁栄していた町が一瞬にして火山灰に飲み込まれてしまった様子はとても恐ろしいものだった。この町は62年に大地震に襲われた後、79年にヴェスヴィオ火山噴火によって消滅した。今から2000年ほど前の出来事だけれど、実際にあった出来事である。いつ起こってもおかしくないという言葉を理解していても、そこでの生活をすぐにやめることができるほど人間の暮らしは単純なものではない。それはきっと現代社会でも2000年前の暮らしでも同じことなのだと思う。

13時、茶道稽古。今日は今週末の茶会に向けて長板二つ置きの点前を繰り返す。手順などはとっくに思えているけれど、思うように体が動かない。勝手に茶会をイメージし、勝手に緊張してこわばっているようだ。人の精神状況というのは面白い。自分の意志とは全く関係なく、汗をかいたり、震えたり、・・・全く困ったものである。3回目の点前ではさすがに緊張感もなくなってきたが、果たして本番は如何に?楽しみでもありちょっと怖くもある。

19時、建築士事務所協会理事会に参加。会の途中、空き家に関する条例について話題となった。家を作りすぎるから、空き家が増える。建売をこれ以上作れば、その分だけ空き家が増える。集合住宅も同じことだけれど、造ることを規制する法律は経済に悪影響を与えるからなかなか整備されない。その代わりに壊す事や管理することを促進するというが、これでよいのだろうかの疑問はぬぐい切れない。

都会に売り土地が出るとき、その土地は建売業者が買い取るかマンション業者が買い取る場合が一番多い。なぜならそれが最も高く売れるからである。でも、売主が自ら土地を分割して販売できるようになれば、実はそれが一番高く売れる方法である。しかしそれは宅建業法違反となってしまうので行うことができない手法だ。だったら法律を変えればよいと思うが、こういう改正は業界団体が許さないからなかなか実行されないのが現実である。自由に家を建てたい人はその買取を逃れた数少ない土地の中から、建築条件などの無い綺麗な土地を購入し、家を造る。でもそれでよいのか・・・あまりよくはない。

地方行政は何をできるのか。地方にしかできないことというのはよくわからないが、その土地にいるからこそわかることがわかり、その土地にいるからこそ描ける理想がわかり、その理想を実現するための施策を行うことができるのだと思う。政治家はそれを実現するべきだ。国が作った助成金制度を活用し、予算を引っ張てくることだけが政治家の仕事ではない。もちろん利用すべきは利用するほうが良いのは自明の理だけれど、国が助成金をつけなければ動かないというのは愚の骨頂だと思う。僕が暮らす川口市は下町っぽくてごった返していて、気取ったところがなくって、とても良い町だと思う。でも、最近はだんだんと下町っぽさがなくなって、どこかで見かけるニュータウンのごとき再開発の風景が増えつつあって、本当にこれでよいのかの疑問を感じることも多い。教育やアートを取り入れ、町の価値を高める施策も取られ始めているけれど、こうした動きはそれほど爆発的なものではないのが残念だ。事務所協会も参加し始めたばかりだが、なんだかいろいろと考えさせられる機会としてとても役に立ちそうな気がする。

2018/06/03

10時、東京都国分寺市にて設計中のJさんの家の打ち合わせ。このプロジェクトでは、例えば冬の寒い日にペレットストーブを炊いたとして、温められた空気が吹き抜けの上部にたまってしまうわけだけれど、その暖かい空気をダクトを使って床下に送り込むための装置を設置することを計画している。三菱の送風機に断熱と防音を兼ねたダクトを接続し、さらには消音のためのマフラーを取り付けることで運転時の音をなるべく小さくするようにしているのだけれど、どれくらいに音が小さくなったかというのは実際にその音を聞いてみないとわからないわけなので、契約前にその装置を実験的に組み立ててみることにした。果たして結果は・・・これは予想外に効果的で、音はかすかに聞こえるものの消音装置なしの時と比べると格段に小さくなる。これで、上部にたまった暖かい空気を床下の送り込むことができればなかなか効果的な空気循環装置ができる事だろう。Jさんも気に入ってくれたようで何よりであった。

引き続き見積もり提示の打ち合わせなどを行い、12時過ぎに終了。ちなみに下の写真はその装置の様子である。意外な大きさにびっくりするが、大きな箱はただの消音マフラーで小さい箱のほうが実際の送風機である。

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14時、越谷花田苑にて茶会に参加。今日は埼玉県の学生茶道連盟の方々によるお茶会にお招きいただいた。大学生から中学生まで大変多くの学生さんたちが熱心に取り組んでいる様子を見ていると、改めて引きしまる思いがする。すぐ隣で手を震わせながらお点前をする高校生・・・、これはまるで自分の様で、緊張すると手が震えるのはみんな一緒なんだなあ等と、変なところに感心しながら時を過ごしていた。それにしても熱心に学生たちに教えている先生方にも誠に頭が下がる。毎年変わる学生たちに、毎年同じことを教えてあげる気力、使命感、こういう仕事を聖職と呼ぶのだなあ・・・、根気よく教授するということの大切さにも改めて思いを寄せる一日であった。

2018/06/02

10時、埼玉県和光市にて設計中のKさんの家打ち合わせ。今日は見積もりの提示である。概算で金額を入れておいた構造材が思ったより高い。これは資材の値上がりの影響もあって、特に梁材などの値上がりが大きいようである。米松・・・アメリカのものの値段が高くなるのはもしかしたらあの大統領のせいだろうか?全く勘弁してほしいものである。

17時、埼玉県さいたま市にて新築住宅を検討中のIさん打ち合わせ。土地探しのご相談である。トータルの予算からして2500万円程度の土地を探すことになりそうである。最近はだいぶ土地の流動が進んでいるような気がするけれど、空き家対策の条例などの影響もあるのかもしれないし、今が売り時との判断からなのかもしれない。どちらにしても売り物件があって初めて購入することができるわけだから、不要な土地を所有している人には是非売り出しの意志を表示してほしいものであるのだ。

そういえば昔、北の常緑ハウスのクライアントのKさんが土地探しをしていた時のことを思い出す。Kさんは数年間、川に近い理想的な土地を探していたけれど、なかなか見つけることができなかった。ある時自転車でお目当てのエリアを走っていると、人が住んでいない土地を見つけた。早速持ち主を調べ、静岡県にいる持ち主と直接交渉し、土地の購入を決めてしまった。まさに運命の出会いである。土地探しとはそんなものなのだろう。まるで結婚相手との出会いのようだが、一生住み続けることを思うと同じようなものかもしれない。相性と勢い・・・、うまくいくようにお手伝いをしていきたいと思う。

2018/05/30

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。8月ごろに配布予定の住まいのお手入れブックの内容について打ち合わせ。主に木の仕上げ部分のお手入れをどのように行うかをまとめた小冊子を作成する予定なのだけれど、本日はその内容についてのミーティングを行った。

11時、女性の現場監督さん面接。経験等は申し分ないようなのだけれど、事情により採用には至らず。まことに難しい限りである。

19時、東京都板橋区にて新築住宅を検討中のSさん打ち合わせ。健康上の理由などで1か月ほど保留とされていたので、再度設計を進めた場合のスケジュールや建築コストなどについてのすり合わせを行った。家を建て替えるという行為は、なかなかの大事業である。やらないでよいならやらないほうが楽だし、お金もかからなくてよいが、やっぱり建て替えなければいけない事情があるから建て替えるのであって、そのはざまで最後の最後まで悩む必要があるのだと思う。焦りは禁物、時間がかかるものなのだ。

2018/05/29

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

住宅の設計をしていると、様々な合理性の縛りとの戦いがある。既製品を使用したほうがコストが下がるのは当然のことなのだけれど、味気ない既製品の塊の設計は何も面白くない。そもそもそういう住宅を求めてますいいに来るクライアントもいない。合理性を嫌うと、人の手の跡が欲しくなる。人が手作業で作ってくれたものは、それだけで魅力的だ。左官素材が魅力的なのはそういう人の手の跡が感じられるからだと思う。

各所のディテールも同じようなことが言える。既製品の見切り材は恐ろしく格好が悪い。見切るというのは、「二つの異なる素材のぶつかるところを区別する」ような意味合いなのだけれど、こういうところをしっかりしないと割れてしまったりの失敗につながる。一見簡単そうに見えるこの行為、綺麗に見せようとすると実はなかなか苦労する。

ミースの言葉にこんな言葉がある。
「近代建築の問題は合理的な解決が求められたときに、にわかに認められたのだと考えることは根本的な錯誤である。建築における美とは過去と同様に必要であり、また求められているものであるが、それは建物の中に当座求められている物以上のものがあるときに初めて達成される。」

モノづくりの本質はこんなところにある。そしてそういうことは追及しようとしても果てしない奥行きがある。時間もかかるし手間もかかる。だからこそ時間をかけて、手間もかけないといけないのだと思う。

2018/05/26

10時、東京都杉並区にて設計中のUさんの家の打ち合わせ。Uさんの家は小さな土地に建つ、木造2階建ての住宅である。敷地は角地で北側と西側が接道している。南側は隣地の住宅が迫っているが、低層なので2階部分の日照は確保できるだろう。だからリビングを2階に配置し、吹き抜けを介してリビングとつながるロフトを設けることにした。こうすることで小さな家でも吹き抜けを通して視線の抜けを作り出すことができ、広がりを感じる空間となるであろう。駅のほうから家に帰ってくる道はちょうど角の部分にあたる。家に帰ってきたときに出迎えてくれるような家がいいなというご主人の言葉を大切に設計を進めていきたいと思う。

13時、埼玉県桶川市にて計画中のAさんの家の打ち合わせ。今回は基本設計を初めて1回目の打ち合わせということで、敷地全体を利用して理想的と思えるプランを作成させていただいた。延べ床面積が60坪ほどである。1階部分が40坪、2階部分が20坪ほどであろうか。茶室・水屋などの設えがある分1階のボリュームが大きくなっている。2階から1階にかかる大屋根のボリュームを確認するための模型を作成してみたら、なかなか良い。これを和瓦で仕上げたらとてもきれいな屋根となるであろう。

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2018/05/25

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

11時、茶会に参加。なんでも外国人を招いて日本文化と親しんでいただくための茶会だそうで、品川にあるジョサイア・コンドル先生が設計した洋館で開催された。客は半分が外国の方で、半分が日本の方である。偶然にも以前茶室を作らせていただいた知人のお母さまと同席となり、一緒に席入りをさせて頂くことができた。点心は、普段通りの和食ではなくビュッフェスタイルのバイキングである。食事とともにワインをたしなむ感覚も洋風である。僕はそのあとの仕事が気になったので、お酒は控えて食事だけを軽く済ませることにした。

それにしても・・・こんな風雅な洋館で晩餐会を開催し・・・そんな感覚の生活を今でもしている日本人が存在するのであろうかと考えれば、それはノーである。宗教法人でもない限り、相続税の高いこの日本で、高額な資産を個人で所有することは不可能である。だからきっとこの洋館も会社所有であるわけだし、旧岩崎邸などもGHQに接収されたのちに紆余曲折の末、東京都の公園として整備されている。江戸時代から明治という新しい時代に移るときに、西洋に追い付け追い越せの精神の中でお雇い外国人建築家による豪邸を建築し、それまでの日本的な和風の建築とは一線を画した空間を手に入れた、その名残である。100坪ほどあろうかというような巨大な藤棚!!庭のあちらこちらにある巨岩の数々。茶会ではあるが、建築の鑑賞で予想外に楽しませていただいた一日であった。

終了後、一緒に参加した友人とともに横山大観展を鑑賞。なんだかとても文化的な一日であった。

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18時過ぎ帰社。

2018/05/24

10時、埼玉県川口市にて設計中のS事務所打ち合わせ。鉄骨造2階建ての事務所ということで設計を進めているがようやくプランのほうがまとまりそうである。この事務所は不動産屋さんを営むための事務所で、接客などを行う窓口、事務スペース、看板の作成を行う作業場、休憩スペースなどなど、延べ床面積で80坪ほどの広さを持つ予定だ。事業用の建築ということで当然シビアなコストの中での設計となる。構造は8本の柱をベースに立ち上げ建築の形は整形な総2階とした。外壁はALCを利用することを考えている。両サイドに銀行とレジャー施設が建ち並んでいる関係で、正面の意匠をどのようにするか、つまりは看板建築としての視認性をいかに高めるかが工夫のしどころとなるであろう。

帰りがけにもう一度敷地を訪れてみた。近所にあるマクドナルドやコンビニを見ていると周りの建物の看板の量、配置計画の絶妙さにはあらためて感心させられるところもある。背の高い塔のてっぺんに着けられたMのマークを見ると、誰でもそこにマクドナルドがあると認識するし、遠くからそうわかることでちょっと考えて、入り口はどこだろうと考えて、近づくころにはここが入り口だと理解して中に入ることができるまでの過程を、確実に生み出すように配置されているのである。こういうことを真剣に考えることはあまりなかったけれど、これは行動する人間の心理を想像しながらのなかなかに面白い計画であると思う。

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